投資総額1兆3000億円! 日本企業が印スタートアップに投資する理由

インドのスタートアップ情報に特化したメディア「Inc42」によると、過去5年間で日本からインドのスタートアップへの投資総額は120億ドル(約1兆3000億円)超に達したことが明らかになった。

中でも投資額が飛びぬけているのがソフトバンクで、投資総額の8割超となる100億ドル(1兆1000億円)超えとなった。ソフトバンク以外の日本のVC勢(※)はそれぞれ1億ドル規模の投資をしている。

※Rebright Partners、電通ベンチャーズ、BEENEXT, リクルートホールディングス、Mistletoe、 REAPRA Ventures、アスカコーポレーション等

画像はソフトバンク・ビジョン・ファンドのHPより

ソフトバンクは2011年に「InMobi」(モバイル広告ネットワーク)に2億ドル(当時のレートで約154億円)を投資して以来、インドのスタートアップの主要な投資家となり、日本の投資家がインド市場へ参入する呼び水となった。また、インドにあるユニコーン27社の内、12社以上がソフトバンクを中心とした日本のVC勢から投資を受けている。

ソフトバンクの投資額上位5社は、①「Flipkart」(Eコマース)25億ドル、②「Paytm」(電子決済)19億ドル、③「Snapdeal」(Eコマース)8億5000万ドル、④「OYO」(ホスピタリティテック)6億ドル、⑤「Ola」(配車サービス)5億5000万ドルだ。

バンガロールに拠点を置くスタートアップ研究&分析会社「Tracxn」によると、2017年時点で日本からの投資総額は49億ドル(約5490億円)に達しており、その前年の3億8700万ドルから約13倍に増加。米国や中国を超える規模になった(2017年時点で米国は46億ドル、中国は35億ドル)。

日本からの投資が過去5年間で大きく伸びた理由として、ソフトバンクを中心とするVC勢はインドを大きな可能性を秘めた市場として捉えており、そのための投資の意思決定の速さや行動力が見て取れる。また、日本のVC勢は長期的な投資でスタートアップとパートナー関係を築き上げていくことに加え、インドの7%台の経済成長率、革新的なイノベーション技術、両国の政治・経済・デジタル分野での連携(日印CEPA、日印デジタル・パートナーシップ等)、歴史・文化的な結びつき等も背景にあるだろう。

インドのスタートアップ・エコシステムは、他国と比べて複雑な規制や株式市場の未成熟さ、新規株式公開(IPO)などのイグジットの難しさが指摘されているが、他国の投資家と比較すると、日本VC勢はイクジット・出口戦略のみに重点を置いていないように見える。日本VC勢が特に関心が強い事業分野は、フィンテック、ヘルステック、Eコマース、アグリテック、ゲーミングテック、産業テックの6分野だ。

現状では、日本からインドへの一方的な投資が多く、インドから日本市場への参入はまだまだ少ない。インドは独創性、「ジュガード精神」を強みとした「デジタル・インクルージョン」で膨大な人口からくる様々な社会的課題をビジネスチャンスにしており、日本は「カイゼン精神」を強みとする「デジタル・トランスフォーメーション」で人口減少問題に取り組んでいる。

今後はこうした社会的課題をビジネスチャンスに変えていく戦略を両国で打ち立て、インドの革新的なテクノロジーやサービスをB2CだけでなくB2Bの面でも日本に持ち込むことが見込まれる。

昨年バンガロールで設立された「日印スタートアップ・ハブ」のように、両国間のスタートアップ・エコシテムは投資、インキュベーター、人材、技術等の面でますます成熟していくはずだ。

written by  Makoto N

関連リンク
https://tech.economictimes.indiatimes.com/news/internet/curefit-to-launch-5m-incubator-for-new-food-brands/68841756

https://www.thehindubusinessline.com/news/japan-overtakes-china-us-in-investing-in-indian-start-ups/article24203723.ece

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