インドユニコーンファイル《1》ワン97コミュニケーションズ

One97 Communications(ワン97コミュニケーションズ)」はインド最大の電子決済サービス「Paytm」の親会社で、CEO1978年生まれのVijay Shekhar Sharma氏だ。同氏は飛び級で進学したデリー・テクノロジカル大学で電子通信を学びながら、在学中に友人とともにポータルサイト「indiasite.net」を開発(1997年)。そのわずか2年後、同サイトを米「Lotus Interworks」100万ドルで売却した。

Sharma氏 がベンチャー企業「One97」を設立したのは2001年のこと。米国のソフトウェア開発者であるマーク・アンドリーセン氏やYahoo! 共同創業者であるジェリー・ヤン氏に多大な影響を受けたことが起業につながったそうだ。

One97」の歴史は、サウス・デリーにある小さくて薄汚いレンタル・ルームからスタートした。当初はニュースや着信音、SMSなどのモバイル・コンテンツを提供していたが、設立から半年もしない内に米国同時多発テロ事件の影響で、Sharma氏のパートナーが事業から撤退。早くも困難な状況を迎えてしまう。Sharma氏は過去のインタビューで「2003年から2004年にかけて、私はとても苦労していた。会社のキャッシュフローを助けるために、ほかの仕事をしなければならなかった」と当時を振り返っている。

そんな「One97」に転機が訪れたのは2004年。友人から紹介された公認会計士のPeeyush Aggarwal氏が80万ルピーを投資してくれたのだ。同社に初めて投資した人物である。

窮地を脱した「One97」は徐々に事業が軌道に乗り始め、「SAIF Partners」や「Silicon Valley Bank」からも資金を調達することに成功。200708年の売上高は11000ルピーに達した。

Paytm」が設立されたのは「One97」の事業が好調であった2010年。プリペイド式モバイルリチャージサイトとして事業を開始した同社は、2013年にモバイル決済サービス「Paytm wallet」もローンチ。「Paytm wallet」が生まれたきっかけは、Sharma氏が中国で進むモバイル決済に感銘を受けたからだという。

One97」および「Paytm」の事業は、2015年を境に大躍進を遂げる。と言うのも、タタ・グループの会長も務めるインドの実業家、ラタン・タタ氏が「Paytm」に個人的に出資しただけでなく、中国のアリババグループ、その傘下の金融会社「アント・フィナンシャル」からも大規模な投資を受けたためだ。豊富な資金、世界最大のEコマース、モバイルオンライン決済プラットフォーム「アリペイ」等とのシナジー効果により、事業は拡大の一途をたどってきた。

また、「ソフトバンク」も20175月に14億ドルを出資。「100億円あげちゃうキャンペーン」で話題をさらったモバイル決済アプリ「PayPay」(201810月〜)は、「Paytm」の技術提供によって誕生したサービスだ。

20193月現在、「One97」の評価額はすでに100億ドルを突破。インド最大のモバイル決済サービスプラットフォームを有する同社は、その将来性、評価額から間違いなくインドを代表する企業となっている。

written by 編集部

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https://www.telegraphindia.com/culture/the-king-of-cash/cid/1320270

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