QRコードでゴミ収集を管理、バンガロールでプロジェクト立ち上げへ
|かつては緑豊かで公園が多いことから“ガーデン・シティ(庭園都市)”と呼ばれていたバンガロールだが、最近では経済発展に伴う人口増、都市・工業化、ライフスタイルの変化等によってゴミの量・種類が急増し、かつ不法投棄や不適正処理の横行等で“ガベージ・シティ(ゴミの都市)”という不名誉なレッテルを貼られているのが現状だ。また、業者がきちんと収集業務を行わない裏事情もある。

バンガロールの行政機関である「BBMP(Bruhat Bengaluru Mahanagara Palike)」は先日、こうした現状に終止符を打とうと、あるプロジェクトの立ち上げ準備を進めていることを明かした。各家庭に専用のQRコードを発行・配布し、QRコードによってゴミ収集を管理するというものだ。
現在はまだプロジェクトの立ち上げ段階にあり、詳細は確定していないが、各家庭は配布されたQRコードをドアに掲示し、業者はゴミ収集時にリーダーで読み取る。これにより、行政機関や業者はどこでゴミが収集され、どこで収集されていないのか等の情報を逐一確認できるようになるという。
また、「BBMP」は各家庭にQRコードを配布することで、別の利用法ーー例えば不動産管理にも役立てることを想定しており、将来的には固定資産税の債務不履行等を追跡できるシステムの実装も計画しているという。

とは言え、このプロジェクトは「BBMP」にとって大きなチャレンジだ。まず、全家庭に個別のQRコードを配布すること自体ハードルが高い。加えてQRコードラベルは永続的なものではなく、誰がいつどのようなタイミングで交換するのか等、議論しなければならない点は多い。仮に固定資産税の追跡等も含める場合、複雑なデジタルマッピングの作成、豊富なデータの蓄積も必要となってくるはずだ。
バンガロールだけでなく、インドではナレンドラ・モディ首相の主導で「クリーン・インディア・キャンペーン(Swachh Bharat Abhiyan)」(※)が推進されており、各州でゴミ問題への取り組みが本格化しているが、今のところ大きな成果が出ているとは言い難い。そもそもインドは廃棄物処理施設が不足しており、ゴミ処理に関する知識の欠如、宗教上の理由からくるゴミ処理への偏見等も複雑に絡み合い、ゴミ問題は一筋縄ではいかない難題だ。今回のプロジェクトが成功するかしないかは定かではないが、こうしたインドの複雑な事情、人口規模から判断するに、管理監督が行き届きやすい公共のデジタルインフラへの移行は自然な流れと言えるだろう。
※ 2014年10月から始った公衆衛生およびゴミ問題の解決を目指すキャンペーン。同時期に始められた「メイク・イン・インディア」「デジタル・インディア」に並ぶモディ政権の重要な政策
written by 飯塚竜二