アジア最大級、インドのベビーケア用品大手「FirstCry」が保育分野に参入

2019年1月に「ソフトバンク」から4億ドル(約438億円)の資金調達に成功したベビーケア用品「FirstCry」だが、先月同社が保育フランチャイズ事業の「Oi Playschool」を買収したことが明らかになった。これは同社が保育分野にも事業領域を拡大させたことを意味する。

今回の買収額は非公開であるものの、全額現金取引と見られている。年間推定収益7800万ドル(約85億円)を誇る「Oi Playschool」は、教育マネジメント&コンサルタント「People Combine Group」の子会社であり、親会社である「People Combine Group」からの大規模買収案件であるのは確かだ。

「FirstCry」は“インドのオックスフォード”の異名を持つインド西部の学術都市プネーで2010年に創業された。創業者はシリアルアントレプレナーのSupam Maheshwari氏とAmitava Saha氏で、同社は2013年に財閥系コングロマリット「マヒンドラ・グループ」のベビーケア用品「Babyoye」を買収し、同分野ではアジア最大級の企業となった。

また、「ソフトバンク」からの資金調達により「FirstCry」の現在の評価額は8億5000万ドル(約931億円)に達しており、ユニコーン入りも間近と見られている。

 

小売から、子育て分野に幅広く展開

「FirstCry」はオンライン販売のほか、インド125都市(※)で400以上のフランチャイズ店を展開。海外ブランドを含む、幼児・児童向けアパレルや学童用品等、様々なベビーケア用品を販売し、最近ではドバイ(アラブ首長国連邦)でも事業をスタートさせた。

※Tier1~3の都市で幅広く展開

また、同社は月間1300万のユーザー数を誇る子育てコミュニティ「FirstCry Parenting」の運営、サブスク方式の知育玩具キット「Intellikit」の販売等も手がけている。今回の買収により、「FirstCry」はベビーケア用品の小売チャネル以外にも幼児・児童を対象にした就学前教育(※)分野もカバーすることになる。

※Pre-primary education

 

プレイヤーが少ない保育市場で一強を狙う

一方の「Oi Playschool」は2010年に創業。本拠地のハイデラバード、バンガロールでフランチャイズ方式の55の保育施設(プレイスクール)を運営している。「FirstCry」の傘下となることで、今後5年間で1000以上の保育施設をインド全土に開設する計画だ。

インドでの保育(就学前教育)市場はいまだ断片的であり、「Oi Playschool」は同市場では有力プレイヤーだ。競合としては米国大手投資会社「KKR」(※)が所有する「EuroKids」、コングロマリット「Essar Group」傘下の「Kidzee」等が挙げられるが、まだまだ参入企業は少ないのが現状だ。こうした断片的な市場で、「FirstCry」はその膨大な顧客基盤や資金力等を生かし、保育市場での一強を目指すものと思われる。

※コールバーグ・クラビス・ロバーツ

2050年には中国を抜き、人口が15億人に達すると予測されているインドでは、経済発展、所得増加に伴い、子育て世代の育児や保育への支出が大きく増加すると見れられている。就学前教育市場は2022年には現在の2.5倍の50億ドル規模(約5478億円)に成長するとされ、AIを幼児・児童向け教育に活用するスタートアップも増えている。

実際に、同市場に詳しいオランダのコンサル大手「KPMG」のインド法人トップは、就学前の児童を対象にした保育分野は最も急性長する分野の一つと見ている。また、「今回の買収は2社にとって市場シェア強化、事業領域の拡大を目指した川下統合(※)と言える。2社とも“若い子育て世代”が顧客という点で共通している。今後、こうした世代の育児への出費は増加し、中でも保育分野は大きな割合を占めつつある」と述べ、就学前教育、保育分野に参入した「FirstCry」の今後について有望な見通しを示している。

※Forward integration 

written by Makoto N

関連リンク
https://tech.economictimes.indiatimes.com/news/startups/firstcry-acquires-playschool-chain-oi/72269741

https://yourstory.com/2019/11/firstcry-group-acquires-oi-playschool-education

http://www.oiplayschool.com/

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