ユニコーン入り目前、インドE-グロサリー大手「Grofers」の戦略

E-グロサリー大手「Grofers」(本社:グルガオン)の動きが、資金調達・事業面で活発化している。資金調達では2019年5月にソフトバンク等の既存VCからシリーズFで2億ドル(約217億円)を、先月にはメディア・コングロマリット「Times Group」(ムンバイ)から2000万ドル相当(約22億円)をワラント債(新株予約権付社債)で調達した。

これまでの調達資金総額は約5億ドル(約543億円)に達しており、同社の評価額は10億ドル(約1087億円)に近いと見られ、ユニコーン入りが目前に迫っているという(※)。

※ すでにユニコーン企業入りを果たした、と報じている現地メディアもある

自社ブランドが強みの「Grofers」

18都市で事業展開する「Grofers」は、2013年にAlbinder Dhindsa氏とSaurabh Kumar氏により創業。過去2年間の売上は4億ドル(約435億円)に達し、8倍もの高成長率を記録している。同社の急成長を後押ししているのが、”G-Brands”と呼ばれる豊富な自社ブランド商品だ。中間業者を通さない分、割安で良質な商品が消費者の支持を得ている(※)。

※ライバル企業の「BigBasket」も同様に自社ブランドを展開している

同社の自社ブランド商品は食品から日用消費財(FMCG)までを含み、全体の売上の40%を占めている。2020年には60%まで引き上げる計画だ。

Albinder Dhindsa氏(左)とSaurabh Kumar氏

「Grofers」は今年中に10億ドル(約1087億円)の売上を目指しており、零細商店の「キラナ」等の実店舗をベンダーとして取り込み、同社のブランドストアに転換し、既存商品よりも30〜40%安い”G-Brands”を展開する戦略を立てている。今年7月にはデリー首都圏ですでに約300店舗と提携、今後3年間で5万店舗まで拡大させる計画だ。

同社は今年中にムンバイ、バンガロールでも同計画を実行予定で、提携先商店には利益率の高いバックエンド商品の提供、在庫管理、技術面等の様々なサポートをしてゆく。

E-グロサリー2強企業、戦略の違い

インドのオンライン食品市場は現在、「BigBasket」と「Grofers」の2社が8割のシェアを占めている。最近、同市場に本格参入の動きを見せている巨大EC「Amazon」や「Flipkart」のシェアはわずか5%程度だ。

E-グロサリー市場のマーケットシェア 印リサーチ会社「RedSeer」より転載

今年3月にユニコーン入りを果たした同社のライバル「BigBasket」(バンガロール)は25都市で展開、インド全国を幅広くカバーしている。一方、「Grofers」は展開都市や商品を絞り込むことで、堅牢なネットワークを築き上げ、大量調達でコストダウンを図っている。

また、商品のSKU(最小管理単位)で見ると、「BigBasket」は3万5000点に上るが、「Grofers」は1800点程度に絞ることで、商品管理の運用コスト削減につなげている。

加えて「Grofers」は一部の野菜や果物を除き、傷みやすい生鮮食品を取り扱わず、加工食品やFMCGに重点を置いている。「BigBasket」は”総合食品店”と自称しているように、売上の20%を占める生鮮食品分野に創業以来一貫して力を入れてきた。

「Grofers」は最近、化粧品やウェルネス分野参入に向けた動きを見せている。同社CEOのSaurabh Kumar氏は今年7月、コスメEC「Orange Something」を立ち上げた。現在のところ、「Grofers」との具体的な関連性は不明だが、同社のFMCG分野への積極的な姿勢の表れである、と業界筋は見ている。

「Orange Something」HP画像
E-グロサリー成長のカギは「Tier2」以下の都市

インドの小売分野でのECの割合は依然として3%程度しかなく、この内、E-グロサリーの割合に至ってはわずか0.2%だ。しかし、2023年にはE-グロサリーの割合は1.2%に上昇する見込みで、105億ドル(約1兆1407億円)規模の市場に成長すると予測されている。またEC分野への投資総額の40%は、E-グロサリー分野のスタートアップに投資されている点にも注目したい(※)。

※印リサーチ会社「RedSeer」と「BigBasket」によるレポート

同分野への投資が活発な理由として、スマートフォンの普及によるネットアクセスの増加、安くて確かな商品を購入したいという消費者ニーズの高まり、ECそのものへの信頼の向上、サブスクリプション方式の堅実な収益等が挙げられるが、とりわけ「Tier2」以下の都市(人口400万人未満の都市)での需要の拡大が大きな理由となっている。

デリーやバンガロールといった大都市と異なり、「Tier2」以下の小都市では現代的な小売店やショッピングモール等が少なく、こうした小都市に住む消費者にとってECの品数や割安な価格は大きな魅力となっている。

「Grofers」のCEO、Albinder Dhindsa氏は「Eーグロサリーは全EC分野へ消費者を誘導する呼び水となる。実際、当社の毎月の新規ユーザーの15%は小都市に住み、始めてオンラインショッピングする人たちだからだ。小都市での所得の増加や4Gの浸透は、今後のEC市場が大きく成長するための力強い基礎になっている」と述べ、EC市場成長のけん引役として「Tier2」以下の小都市について触れている。

 written by Makoto N

関連リンク
https://inc42.com/buzz/grofers-converting-kirana-stores-to-branded-stores/

https://inc42.com/buzz/grofers-plans-to-add-50k-kirana-stores-by-2022-to-cross-1-bn-revenue-target/

https://inc42.com/buzz/exclusive-grofers-bets-big-on-beauty-with-orange-something-ecommerce-platform/

https://yourstory.com/2019/11/online-grocery-startup-bigbasket-grofers-hyperlocal-swiggy-milkbasket

https://www.businessinsider.in/business/ecommerce/news/online-grocery-retailers-growth-estimate-in-india/articleshow/71885168.cms

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