インドが2兆円規模の法人税減税、スタートアップにも大きな追い風に

2019年9月20日、インド政府のニルマラ・シタラマン財務相は景気刺激対策として法人税を現行の30%から22%に引き下げることを発表した。(※)今回の大幅な法人税引き下げは約200億ドル(約2兆円)規模の減税につながり、自動車、通信、Eコマース等、インドの幅広い業界から歓迎の声があがっている。

※実効税率は35%から25.17%になる。企業はいかなる控除も適用しないという条件付き

ニルマラ・シタラマン財務相

また、会計上の利益に対して課税される国内企業向けの最低代替税も廃止され、2019年10月以降に設立された製造業関連企業は、2023年3月までに生産を開始すること、いかなる控除も受けないという条件で15%の税率(実効税率17.01%)に抑えられる。加えて、海外投資家等が株式売却で得たキャピタルゲインへの大幅な増税も見送られた。

インドの2019年第1四半期(4月ー6月)の実質GDP成長率は5%と6年ぶりの低成長率となり、自動車等の製造業分野の成長率は12.1%から0.6%に急落する等、幅広い分野で経済成長が鈍化している。

減税による財政赤字への懸念はあるものの、今回の思い切った景気対策によって資金の流動性が増し、市場の活性化や大幅な収益改善につながることが予想され、大きな期待が寄せられている。

また、企業に義務付けられているCSRへの支出(直近3会計年度の純利益の平均2%以上をCSR活動に支出しなければならない)の予算配分を、科学技術や医療分野等にも拡大し、大学や研究所での最先端技術のR&Dをインキュベートしていく方針だ。

「Make in India」のブースターになるか

今回の法人税率引き下げにより、モディノミクスの柱の一つである製造業のハブ化、「Make in India」が大きく前進する可能性がある。法人税の実効税率は中国が約25%、米国は約27%、日本は約30.62%、韓国は約11%〜27.5%となっており、国内での事業展開、投資や輸出面等で他国と伍する環境が整えられつつある。

ナレンドラ・モディ首相は20日、「法人税の引き下げは歴史的なステップだ。世界から投資を呼び込んで企業の競争力を高め、多くの雇用を作り出して”Make in India”を大きく前進させる。13億のインド人にwin-winをもたらすだろう」とツイート、強い意気込みを見せている。

注目されるフェスティバルシーズンの消費動向

マクロ経済の観点では、Eコマースや決済分野のスタートアップが消費者動向に関心を寄せている。インドでは10月から自動車や家電等の耐久消費財の需要が伸びるフェスティバルシーズンに入るため、今回の景気刺激対策が企業だけでなく、消費者の購買力にどの程度影響を与えるかが気になるところだ。

インド三大祭の一つ、ダシェラ(Dussehra)。今年は10月8日から10日間に渡って開催される

景況感は企業や消費者の行動に大きな影響を与えるため、GST(消費税)等の個人への大胆な減税政策が新たに打ち出されれば、フェスティバルシーズン中の需要が大きく拡大する、との指摘もある。20日に開かれた物品・サービス税委員会では、ホテルの客室料金への税率が18%から12%に引き下げられる等、一部で減税の動きを見せたものの、効果は限定的だ。

今回の思い切った景気刺激対策により、成長率が鈍化したインド経済が不死鳥のごとく蘇るのかどうかーー世界の注目が集まっている。

written by Makoto N

関連リンク
https://tech.economictimes.indiatimes.com/news/startups/startups-tech-firms-welcome-indias-move-to-cut-corporate-tax-rates/71222346

https://inc42.com/buzz/here-are-the-latest-fiscal-relief-for-corporates-foreign-investors/

https://www.ndtv.com/business/corporate-tax-rate-to-be-slashed-for-domestic-companies-says-finance-minister-nirmala-sitharaman-2104135

https://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/gst-council-cuts-tax-rate-on-hotel-room-tariffs/articleshow/71223934.cms

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