アマゾンがついにインドで「Amazon Fresh」スタート!  50億ドル市場に本格参入

「Amazon」は2019年8月23日、インドで生鮮食品配達サービス「Amazon Fresh」をスタートさせた。バンガロールを皮切りに、ムンバイやデリー首都圏(NCR)、ハイデラバードでも展開する計画だ。

2007年に米シアトルでローンチされて以来、「Amazon Fresh」は同社の食品デリバリー分野における主力サービスのひとつとして、世界中で展開されてきた。インドでは果物や野菜、乳製品、肉、アイスクリーム等といった5000種類以上の生鮮食品以外に、パッケージ食品や商品回転率の速い日用品(FMCG)も”2時間以内”に配達するという。

同サービスは主に有料のプライム会員を対象にしているが、一般会員でも買物額がRs.600(約890円)以上ならば無料配達サービスを受けられる。注文時間は朝6時から午前0時までで、配達エリア拡大のため、会員の住所に一番近い商店から商品を配送するサービスも開始するという(地元の配送業者を利用)。

「Amazon Fresh」のローンチに先立ち、「Amazon」は6月の時点でバンガロールを拠点とする生鮮食品サプライチェーン「NinjaCart」と投資交渉に入っており、インドの生鮮食品市場への本格参入の可能性が指摘されていた。また、10月にはバンガロールでフードデリバリーサービス「Amazon Restaurant」を開始するという報道もある。

インド市場への本格的なコミットメント

「Amazon」のこうした動きは、同社が本格的にインド市場にコミットしつつある証左であり、最近では伝統工芸品ストア「Karigar store」を立ち上げたり、同社の拠点として世界最大規模のオフィス(※)を開設したりしている。

※ インド南部のハイテク・シティ、ハイデラバードの経済特区に開設

同社の最大のライバルである「Flipkart」も生鮮食品への本格参入を目論んでいる。「Flipkart」の主要株主である米大手小売りチェーン「ウォルマート」は8月2日、前述の「NinjaCart」へ5000万ドル(約52億円)の投資をしている。

現時点では「NinjaCart」への投資に絡んだ生鮮食品市場における「Flipkart」の具体的な戦略や動きは不明だ。「Flipkart」はすでにオンライン・グロサリーストア「Supermart」でパッケージ食品のほか、乳製品や野菜、果物等の生鮮食品を取り扱っているが、品数や配達スピードでは「Amazon Fresh」に及ばない。

英投資銀行「バークレイズ」によると、2018年度の「Flipkart」の総収益は「Amazon India」よりも17%高い38億ドル(約4018億円)。市場規模の指標である流通取引総額(GMV)では、「Amazon India」は75億ドル(約7929億円)で、「Flipkart」よりも20%ほど大きい。

経済メディア「Quartz India 」のデータに基づき作成

インドでのオンライングロサリー市場のトッププレーヤーは、中国のアリババが出資している「BigBasket」(本社:バンガロール)とソフトバンクが出資している「Grofers」(グルガオン)で、この2社で市場の8割を占めている。こうしたドメスティック企業の強みとしては、農家との強固な提携や地域ごとにローカライズされた倉庫・配送センター、配達スピード等の幅広いネットワークが挙げられる。

一方で「Amazon」のような外資系企業は、対外投資規制(FDI)により、直接在庫を管理したり、出資先企業が管理したりすることが禁じられている。加えて州ごとの複雑な法規や手続き等も市場参入の大きな障壁になっている。

オンライングロサリーは最も急成長する分野
印のEC市場のサイズとセクター。「 IBEF(印政府経済リソースセンター)」から転載

インドの小売市場規模は約77兆円。この内、食品は60%以上を占め、約43兆円規模だ。Eコマースの占める割合は約3%と依然として小さいが、オンライングロサリー市場は最も急成長する分野であり、現在の最大約10億ドル(約1082億円)規模から2024年には50億ドル(約5409億円)以上に拡大することが予測されている。また、グロサリー分野でのスタートアップへの総投資額は、2018年で約3.7億ドル(約400億円)に上る。

オンライングロサリー・FMCG市場動向。印リサーチ会社「RedSeer」から転載

「Amazon India」は過去15年間でインドに20万人以上の雇用をもたらし、13の州で50の配送センターを設立した。同社では今後5年間でグロサリーとFMCGが事業の半分以上を占めると見込んでおり、配送センターの増設、零細商店やスタートアップを積極的に取込みながら、巨大市場獲得に向けて広大なサプライチェーンを築く戦略だ。

written by Makoto N

関連リンク
https://tech.economictimes.indiatimes.com/news/internet/amazonfresh-to-heat-up-grocery-wars-in-india/70783912

https://inc42.com/buzz/amazon-to-launch-food-delivery-service-in-october-report/

https://inc42.com/buzz/walmart-backs-agritech-startup-ninjacart-with-50-mn-funding-round/

https://qz.com/india/1475828/amazon-india-has-higher-gmv-than-flipkart-but-lags-in-revenue/

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