ECで新たな戦場が出現、「アマゾン」と「フリップカート」がインドの伝統工芸品で火花

インドでは8月7日を「全国手織の日」に制定しているが、「Amazon」はその前日に当たる8月6日、インドの職人の手による本格的な工芸品を取り扱う専門ストア「Amazon Karigar store」(※)を立ち上げたことを発表した。同ストアでは国内20州のユニークな美術品や工芸品等、55000点超の商品を取り扱うという。

※ 「Karigar」(カリガル)はヒンディー語で「職人」の意

「Amazon」では従来よりインドの工芸品を取り扱ってきたが、新たに「Karigar store」を立ち上げることで、より専門店的にハンドメイドの伝統工芸品の魅力を消費者に訴求していく。また、主にオフラインで伝統工芸品を取り扱っている中小零細商店(MSME)を「Amazon India」に本格的に取込み、伝統工芸品市場に活気を与えることを目指すという。

この「Amazon」の動きに先立ち、最大のライバル「Flipkart」も伝統工芸品を専門に取り扱う「Flipkart Samarth」(※)を7月に立ち上げた。同ストアにはすでに約10万店のMSMEが出店、消費が伸びる祝日以外の月でも、売上の約70%をこうしたMSMEが占めるという。

売上好調の背景には、同社がMSME向けに商品リスト作成、アカウント管理、在庫管理、ビジネスインサイト等の専門サービスを手ごろな価格で提供していることが挙げられる。

※「Samarth」(サマース)はヒンディー語で「出来る、能力のある」の意

インドでは工芸品分野の起業家や経営者、職人は女性や身体障害者も多く、運転資金やサプライチェーンの不足、高品質な素材不足、未熟な技術研修、加えて安い代替品の流入等の課題から、長らくインドのEコマース・エコシテムから取り残されてきた。

伝統工芸品分野は雇用、貿易面でも巨大産業になる可能性

「カディコットン」(※)に代表される手織り産業に従事する労働人口は農業に次ぐ第2位の規模であり、インド繊維省によると430万人以上が同産業に直接従事しているという。

※ 英植民地時代にマハトマ・ガンディーがインドの経済的自立を促すために普及させた手織布

インド政府は農業分野同様、こうした手織り産業を含む伝統工芸品分野を重視しており、同分野での「Made in India」ブランドの確立、輸出拡大、スタートアップ育成、Eコマースへの参入を「マイクロソフト」や「Amazon」、「Flipkart」等と協力しながら積極的に推し進めている。

インドの手織り生地の生産量は全世界の95%を占め、世界一の規模だ。貿易面では2017年~2018年までの手織り生地の輸出額は3億5591万ドル (約378億円)で、米国が推定5803万ドル(約61億円 ※)で主要輸入国になっている。特に、伝統的なデザインに新しい技術を組み合わせたショールやストール等は独特な風合いや手触りで米国や欧州で近年人気を集めている。

※ 2018年4月〜10月までの間。IBEF(インド政府経済リソースセンター)調べ

インドの工芸品分野は、今回の「Amazon」と「Flipkart」の参入で国内外での需要がさらに高まることが見込まれ、雇用や貿易も含め、巨大な成長産業になる可能性を秘めている。

 written by Makoto N

関連リンク
https://inc42.com/buzz/amazon-announces-the-launch-of-amazon-karigar-for-indian-artisans/https://inc42.com/buzz/flipkart-launches-samarth-to-bring-handicrafts-artisans-online/

https://www.ibef.org/exports/handloom-industry-india.aspx

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