【後編】スタートアップイベント「THE AEONIAN」視察ツアーリポート

2019年5月29日・30日の二日間、バンガロールでスタートアップイベント「THE AEONIAN 2019」が開催されました。今回は、毎月弊社が開催しているビジネス視察ツアーとはプログラムが異なる「スタートアップ交流アクセラレーション研修ツアー」の模様(後編)をリポートします。

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【5月30日】午前中はインド経営大学院バンガロール校を視察

視察ツアー二日目は、インドを代表するビジネススクール「インド経営大学院 バンガロール校(以下、IIMB)」の訪問からスタートしました。

インド経営大学院は国立の高等教育機関で、バンガロールのほか、アフマダーバード、インドール、コルカタ等、インド各都市に13校が設立されています。入試倍率は数百倍にも達する超難関校で、多くの経営者やグローバル・リーダーを輩出していることでも有名です。また、米ゴールドマン・サックスと女性起業家育成プログラムを実施したり、マイケル&スーザン・デル財団とともにインキュベーション活動を展開したりもしています。

IIMBには100名以上の専任教員、1200名以上の学生が在籍しており、約5000名の社会人教育(年間プログラム)受講者も学んでいますが、関係者以外自由に出入りできない場所のせいか、敷地内は市内の喧騒とは無縁でした。校内には緑が溢れ、小綺麗なカフェや建物が立ち並び、学習環境はとても良さそうです。平日であるにも関わらず、数時間の滞在で数える程度の人としかすれ違わなかったのは驚きでした。

IIMBの視察では、卒業生が立ち上げたスタートアップも訪問しました。Venkatesh Setty氏はAIベースの人材インタビュー・プラットフォームを開発しており、学生等の求職者、人材を募集している企業にとってより効率的かつ効果的な採用プロセスを提供すべく奮闘を続けています。同氏曰く、IIMBには「NSRCEL」という起業家を全面的にバックアップしてくれる組織が存在しているそうで、健全な会社運営に欠かせない「キャッシュ・マネジメント」等について貴重なアドバイスを受けられるとのことでした。

IIMBの視察を終えた視察団一行は再びスタートアップイベント「THE AEONIAN 2019」の会場に戻り、前日と同様に“青空ビュッフェランチ”をいただきました。メニューはほぼ同じでしたが、種類は豊富なので、飽きずに食べることができました。

【5月30日】午後は表彰式に参加、大勢のインド人の前でスピーチにチャレンジ

午後は「THE AEONIAN 2019」の表彰式に出席しました。表彰式では、まず主催社「ASPIRE MEDIA」が発行する起業家向け専門誌「SMALL ENTERPRISE」のDojo Jose氏(CEO兼発行人)が挨拶。インドのスタートアップ・エコシステムの現状について紹介するとともに、これからの育成支援への展望等を語りました。また、本イベントのメインスポンサーである「インドステイト銀行(State Bank of India、SBI)」の関係者は、スタートアップの資金調達に関する支援等について指南しました。

3回目の開催となる「THE AEONIAN」は、起業家が投資家やインキュベーター、アクセラレーターと対話できるプラットフォームになっており、様々なテーマで真剣な議論が繰り広げられ、スタートアップ・エコシステムの基盤強化につながっています。前日に開催されたピッチコンテストでも、インキュベーター等から厳しい言葉が矢継ぎ早に投げかけられており(少しでも曖昧な返答をするとすぐに「質問にきちんと答えてください!」等とダメ出しが入る)、「こうした厳しい環境下でインドのスタートアップは鍛えられているのか」と強い感銘を受けました。一方で、仮に日本のスタートアップがインドのピッチイベントに登壇する場合は、語学力はもちろんのこと、確固たるビジネスモデル、論理的思考、自社サービスの的確な分析力、そして強いメンタルが必要不可欠であると痛感した次第です。

また、表彰式では日本企業を代表して株式会社ラクーンホールディングスの田邨知浩氏(取締役)、弊社代表の白井良がカルナータカ州の公用語であるカンナダ語および英語でスピーチを行いました。白井は日本とインドのビジネスの「架け橋」となることを目指し、インディアン・スタートアップの日本への招待、政府関係者向けの日本視察ツアーを開催することを約束するとともに、アクセラレーター・プログラムの企画運営、M&A仲介サポート等の新規事業について紹介しました。ちなみに、この「英語だけでなく、カンナダ語でも挨拶を行う」というのは、弊社インド法人メンバーからのアドバイスだったのですが、結果として多くのインド人の注目を集めることになりました。英語が準公用語であるインドですが、やはり地元の方々と親しくなるには、その国・地域の言葉を話すというのが基本であると再確認しました。

イベント最後には「ASPIRE MEDIA」や「SBI」の関係者と接触。今後の協力関係等について率直な意見交換を行い、会場を後にしました。

【研修ツアーまとめ】

毎月開催している「バンガロール視察ツアー」とは異なるプログラムとなった今回の「スタートアップ交流アクセラレーション研修ツアー」ですが、インドのスタートアップ・エコシステムを理解する上ではとても有意義なツアーとなりました。初期投資費用を抑えられるということもあり、インドのスタートアップはソフトウェア、情報処理産業が特に強い印象で、ハードウェア産業のスタートアップはほとんど見られませんでした。この点は“世界の工場”としての優位性を活かしているスタートアップが多い中国とは大きく異なります。

反面、ソフトウェア、情報処理サービスの企画・開発という点に限れば、インドのスタートアップは非常に高い潜在能力を有しています。世界中の企業がインド人IT技術者を雇用していることはよく知られていますが、最近はインド・中国の両政府がIoTやビッグデータ分野で提携したり、中国の大手IT企業がインド人技術者を積極的に雇用したりする等、お互いの“弱点”を補おうとする動きが活発化しています。

これからの時代、ハードウェアとソフトウェアの融合はすべての企業の課題です。“モノづくり”には並々ならぬ努力と情熱を注ぐ日本ですが、ソフトウェアの重要性に対する認識は不足しています。インドを単なる“オフショア開発拠点”として見るのか、それとも“学ぶべきイノベーションにあふれる国”としてとらえるのか、それによってインドという国、スタートアップとの関わり方にも大きな違いが出てくるはずです。

ぜひ一度足をお運びいただき、インドのIT産業の実態を把握してみてください。

written by 編集部

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