インドの生鮮食品市場狙うアマゾン、アグリテック「NinjaCart」に投資か
|インドのグロサリー市場を狙う「Amazon」が、生鮮食品サプライチェーンを展開するアグリテック「NinjaCart」と投資交渉に入ったことが明らかになった。
2015年にバンガロールで創業した「NinjaCart」は、1万2000以上の農家から直接新鮮な野菜等を仕入れ、配送するB2Bプラットフォームだ。農家以外にも地元の零細商店「キラナ」、手押し車で野菜を販売する極めて小規模な小売業者等も含む幅広いベンダーを取り込んでいるのが同社の強みだ。
同社のサービスは農家と販売業者、消費者を直接結ぶプラットフォームで、バンガロールのほか、チェンナイやデリー等、7都市で事業を展開している。農家は現金収入に直結する野菜や果物等を生産・販売することができ、小売業者には競争力のある価格取引をもたらしている。また、「NinjaCart」は消費者に良質な生鮮食品へのアクセスを可能にした。
昨年12月、「NinjaCart」は既存の投資家「Accel India」や日本のVC「Mistletoe」、「Accel US」、スイスVCの「Syngenta Ventures」等から3460万ドル(約37億円)をシリーズBで調達。さらに今年4月には米国VC「Tiger Global」から8900万ドル(約96億円)を調達し、評価額が一気に3億5000万ドル(約379億円)に跳ね上がり、生鮮食品分野ではトップランナーになった。
「Amazon」生鮮食品市場へ本格参入か
消息筋によると今回の投資交渉は、「Amazon」がパッケージ食品だけでなく、インドの生鮮食品分野へ本格参入しようとしている兆しだという。
インド政府の規制により、同社のインドでの事業展開は決して順調ではなかった。「Amazon」のような外資による輸入食料品販売は禁止されており、インド産食品のみオンライン・オフライン問わず販売することが許可されている。今年2月の対外投資規制(FDI)により、「Amazon」のグロサリー部門「Amazon Retail India」(「Amazonパントリー」と「Prime Now」を足したようなサービス。以下、ARIPL)は一時的にサービス停止に追い込まれた。
こうした規制にも関わらず、「Amazon」はインドのグロサリー・マーケットに5億ドル(約542億円)を投資してきた。「ARIPL」のトップAmit Agarwal氏は今後5年間で生鮮食品を含む食料品や日用品等のグロサリー販売が同国の事業の半分以上を占めると予測。インドの生鮮食品分野は未開拓で複雑な市場と認識する一方で、最も可能性がある市場の一つと評価している。
「Amazon」以外にも、生鮮食品分野に参入する動きは目立っている。バンガロール拠点のユニコーン企業「BigBasket」 や「Udaan」等だ。今回の投資交渉がまとまれば、インド政府が進める農業分野への支援も追い風になり、生鮮食品市場はさらに活気を呈するはずだ。
written by Makoto N
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