PayPayのモデルとなったインドの電子決済サービス「Paytm」

Paytm(ペイティーエム)とは「Pay Through Mobile」の略語であり、インド最大の電子決済サービスだ。スマートフォンにアプリをインストールして、携帯料金や公共料金、バスや電車のチケット、店頭での支払いなどができる。

Paytm

インドのスタートアップメディア「ENTRACKER」によると、2018年5月時点での登録ユーザー数は3億人以上。2016年12月から1億3000万人増加しており、約2年間で日本の総人口規模のユーザー数を獲得したことになる。1000万軒近い店舗と提携し、1カ月あたり9200万人ものユーザーがPaytmを使用している。Paytmの時価総額は100億ドル(約1兆1000億円)と言われている。

Paytmの使い方

Paytmアプリのホーム画面で、「Add Money」をタップして金額を入力。デビットカード、クレジットカード、ネットバンキングのいずれかで「Paytmウォレット」にチャージができる。

Paytm

ユーザーはPaytmアプリの「Pay」オプションでQRコードをスキャンするか、携帯電話番号を入力するだけで、即座に料金を支払うことができる。相手のアカウント情報があれば、個人間送金も可能だ。

Paytm
Paytm
なぜPaytmは成功したのか?

1.加盟店が参入しやすい

Paytmで決済する場合、店側は銀行口座を持たずに取引をすることができ、そのままPaytmに入金される。現金化する時にだけ銀行口座が必要になる。競合他社はアプリインストール時に銀行口座と連携させる必要があり、ここに大きな「差」が生まれたと言われている。

Paytmを使うインドの屋台
インドでは屋台でもPaytmが使える

2.営業力

同社のセールスは、地道に各店舗を回り、Paytmが必要であるかどうかをリサーチするとともに、営業を繰り返したという。さらに、Paytmは配車サービス「Uber」の公式パートナーとなり、セールスは空港近くの駐車場でドライバーを待ち伏せし、自身の4Gネットワークでテザリングして、ドライバーにPaytmをダウンロードさせていたという。こうすることで、客は運転手のQRコードを読み取るだけで支払いを済ませられるようになった。

3.インドの通貨改革

2016年11月にナレンドラ・モディ首相が発表した高額紙幣廃止政策により、1000ルピー札と500ルピー札が廃止された(ブラックマネー流通を撲滅するため)。その影響で電子決済に大きな関心が集まるようになり、実際スピーチの翌日には、アプリダウンロード数は200%、取引量は250%、チャージ額は400%、取引額は1000%増加した。

ソフトバンクグループによる出資

2017年5月、ソフトバンクグループはPaytmの運営会社「ワン97コミュニケーションズ」に1.4億ドル(1550億円)規模の投資を行った。ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合併会社であるPayPay株式会社は、バーコードやQRコードを使って決済ができる新たな決済サービス「PayPay」の提供を今年10月から開始したが、このPayPayにはPaytmの技術が用いられている。

また、2018年8月28日、アメリカの有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが「ワン97コミュニケーションズ」に250億ルピー(約390億円)を投資したことでも話題になった。

written by  磯巧磨

関連リンク
インドユニコーンファイル《1》「ワン97コミュニケーションズ」

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