牛乳配達事業「ミルクテック」がインドで躍進

近年インドでは経済発展に伴う付加価値のついた食品等の“食へのこだわり”、様々な分野に浸透するデジタル化の影響もあり、地域零細サービス業である牛乳配達業者やベンダーにもハイテク化の流れが押し寄せ、既存の牛乳配達業は「Milktech(ミルクテック)」という分野にカテゴライズされて注目を集めるようになっている。

「ミルクテック」が急成長を遂げてきた背景には、インドが世界最大の牛乳の生産国であり消費国(※)でもあるという特性も寄与している。宗教上の理由でベジタリアンも多い同国では牛乳(あるいは水牛乳)は栄養源としても貴重な食材で、国民食的なチャイやギー等にも利用される等、日常の食卓に欠かせないものだ。

※2016年時点で消費量は1.5億トン、日本の約20倍

2014年から2015年にかけてインドではデリバリー・スタートアップの興亡が繰り返されたが、そうした厳しい市場で生き抜いてきた「ミルクテック」スタートアップが3社ある。2015年にバンガロールで創業した「DailyNinja」「Doodhwala」、グルガオンを拠点とする「MilkBasket」の3社だ。

■「DailyNinja」:農家から牛乳を仕入れる既存の「ミルクマン」(零細卸業者)と提携し、強固な顧客基盤を築いている。現在までの総資金調達額は1000万ドル(約11億円)。

■「Doodhwala」:独自の配達スタッフを持ち、既存の牛乳販売業者と提携。また、胃腸に優しいA2ミルクやオーガニック・ミルク等のプレミアムブランドも展開し、好評を得ている。現在までの総資金調達額は1420万ドル(約15億円)。

■「MilkBasket」:上記2社と異なり、従来の「ミルクマン」や供給業者から提供される牛乳の品質に疑問を抱き、独自のサプライチェーンと提携配達業者を持つのが特徴。現在までの総資金調達額は2220万ドル(約24億円)。

上記3社に共通する事業形態としては、アプリケーションを介したサブスクリプション方式だが、各社とも単品購入も可能で、本拠地以外の都市にもサービスを拡大している。

また、「MilkBasket」以外は売上の70%近くを牛乳配達事業から得ているが、 3社とも生活必需品や野菜、果物、紅茶等の食品も併せて配達している点も特徴だ。顧客満足度が高い要因として、注文して翌朝7時には牛乳以外の生活必需品や急に入用になった医薬品等も一緒に無料配達してくれるという利便性がある。

「ミルクテック」業界は月平均20%の成長率を維持しており、6ヵ月間の平均で85%の顧客を維持しているという。こうした魅力的な数値は海外の大手VCも惹きつけており、2018年の1年間で総額2800万ドル(約30億円)が「ミルクテック」に投資されている。また、最近ではフードデリバリー「Swiggy 」(本社:バンガロール )、生鮮食品のオンライン取引プラットフォーム「Bigbasket」(バンガロール )等の大手も同分野に参入した。

ニッチな分野であるとも言える「ミルクテック」だが、牛乳大国インドの特性を考えれば今後さらに市場は拡大していくものと思われる。インドのスタートアップ・エコシステムを語る上で外せない分野であることは間違いないだろう。

written by Makoto N

関連リンク

https://tech.economictimes.indiatimes.com/news/startups/milk-delivery-startups-make-a-splash-in-groceries-market/69406902

https://inc42.com/buzz/milktech-startup-country-delight-gets-10-mn-in-funding-round-led-by-matrix-partners/

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