インドで急速に進む小売再編、「スケール」が勝敗を分ける時代へ

ムンバイに本拠を置くコングロマリット「RP Sanjiv Goenka Group」傘下の小売事業者「Spencer’s Retail」が、スーパーマーケットチェーン「Nature’s Basket」(※)を買収することが明らかになった。現在は株主の承認待ちだ。

※ 財閥ゴドレジ・グループに属する「Godrej Industries」(本社:ムンバイ)の傘下企業

2005年創業の「Nature’s Basket」は、肉・野菜といった生鮮品、日用消費財等を販売するスーパーマーケットチェーン。ムンバイ、バンガロール、プネーに計40軒近い実店舗を構えている。一方、「Spencer’s」は食料雑貨のほか、日用消費財、服飾、電子機器等、様々な商品を取り扱い、デリー、コルカタ(カルカッタ)等、7都市で実店舗を展開している。両社とも元々は実店舗での小売が主体だったが、近年はEコマースの浸透や主要都市での店舗賃料の高騰を受け、オンライン事業の強化に取り組んできた。

買収が完了すれば、「Spencer’s」は西インド市場開拓の足がかりを掴むことができるのと同時に、これまでお互いが蓄積したノウハウを共有することでシナジー効果も見込める。

また、「Nature’s Basket」の人気PB(プライベート・ブランド)商品を取り扱うことで顧客層の広がりも期待でき、「Spencer’s 」が推し進めているオムニチャネル戦略はさらに加速することになるだろう。

インドで進む小売事業再編

インドの小売業界は現在、オンライン/オフライン問わず急速に再編が進んでおり、テクノロジーの進化等も重なって、サービス内容以上に「スケール」が試される時代になっている。

直近の動きとしては、オンラインスーパー「Grofers」(本社:グルガオン)がシリーズFでソフトバンク・ビジョン・ファンド等から2億ドル(約220億円)を調達し、新市場開拓に乗り出した。オンラインスーパー「BigBasket」(本社:グルガオン)も中国の「アリババ」等から1億5000万ドル(約170億円)を調達し、市場およびハイパーローカルデリバリーサービスを拡大。さらにEC大手「Flipkart」(本社:バンガロール)は、同じくバンガロールを拠点とするグロサリーチェーン「Namdhari Fresh」の買収について協議を進めている最中だ。

これらはすべて今月の出来事であり、インドの小売業界は目まぐるしく状況が変化している。裏を返せば、様々な業界、企業がこの市場の将来性に期待を寄せている証でもある。

業界再編が進む中、各社の命運を左右すると思われているのが、小売市場全体の60%を占めるグロサリー(食料雑貨)市場シェアだ。現在、インドのグロサリー市場規模は4000億ドル(約44兆円)以上と算出されているが、2025年には7000億ドル(約77兆円)まで拡大することが見込まれている(※1)。特にオンライン・グロサリー市場は高い伸び率を維持することが予測されており(※2)、各社はO2O、オムニチャネル戦略を積極的に進めている状況だ。

グロサリー市場のシェア争いは、インドの小売業界の行方を占うのはもちろん、加熱するEC市場の勝敗にも大きな影響を及ぼすだろう。

※1 ペンシルベニア大学のビジネススクール「ウォートン・スクール」のレポートより。

※2 米「ゴールドマン・サックス」は、インドのオンライン・グロサリー小売市場の2016年〜2022年のCAGR(年平均成長率)を62%と予測している。

written by 編集部

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